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湘南で海が見える物件は将来的に値上がりする?

湘南の海が見える物件は将来的に値上がりする?

湘南エリア「海が見える物件」の将来価値見通し

はじめに

湘南エリア(鎌倉市、逗子市、葉山町、藤沢市など相模湾沿岸地域)は、都心から約1時間圏内ながら海や豊かな自然に恵まれ、古都の歴史やリゾートの魅力が共存する人気エリアです。特に海が見える物件(オーシャンビュー物件)は希少性が高く、多くの人々を惹きつけてきました。

本レポートでは、この湘南エリアの海が見える不動産が将来的に値上がりする可能性について、多角的な観点から分析したいと思います。過去の不動産市場動向、現在の需要動向と人口構造、観光・移住ニーズ、インフラ整備計画や都市開発の影響、さらには自然災害リスクと気候変動による影響まで考慮し、総合的に将来の資産価値を展望します。具体的なデータや事例も引用しながら、今後値上がりが期待されるエリアや物件条件についても言及していきたいと思います。

物件探しの際にお役立ていただけましたら幸いです。

過去の不動産市場動向(湘南エリアの価格トレンド)

湘南エリアの不動産価格は、1990年代のバブル崩壊後に長期低迷したものの、近年は持ち直しと上昇傾向が顕著です。例えば鎌倉市の住宅地公示地価は2010年代前半に底を打ち、その後ゆるやかに回復し、2020年代に入って上昇に加速しています。公的データによれば、鎌倉市の住宅地平均価格は2024年に前年比+3.8%上昇(211,900円/㎡あたり→219,200円/㎡)し、神奈川県全体の平均変動率(+2.8%)を上回りました。

さらに2025年には、鎌倉市平均坪単価が前年から約7.5%も上昇しており、コロナ禍以降の数年間で顕著な伸びを示しています。この上昇幅は、全国的にも湘南エリアの不動産市場が活況であることを示唆します。実際、「観光地としての魅力が増す中で地域の不動産市場は全国平均を上回る成長を示している」との分析もあり、湘南エリアの資産価値が再評価されつつある状況です。

一方、エリア内でも動向には差異があります。藤沢市や茅ヶ崎市は人口増加と開発に支えられて地価上昇率が高く、2024年の住宅地公示地価変動率は藤沢市+4.2%、茅ヶ崎市+5.2%と県内トップクラスでした。

逗子市や鎌倉市は人口微減傾向ながらも、近年のテレワーク普及や都心富裕層の移住ニーズで需要が底堅く、地価は緩やかな上昇基調にあります。例えば逗子市の基準地価平均は2024年に前年比+4.73%上昇し、ここ数年リモートワーク定着や移住需要増加を背景に上昇傾向が顕著と報告されています。

鎌倉市でも同様に、中心部や海岸部では供給の少なさから「品薄感があり過熱した市場状況」が続いているとの指摘があります。実際、鎌倉市内には坪単価1,000万円超という極めて高額な区画も現れており、その背景には観光ブランド力と土地供給の限界があるとされています。

以上より、湘南エリアの不動産市場は過去数年で明らかに上昇トレンドにあり、特に海沿い・海望みの立地は顕著な値上がりを見せています。

現在の需要動向と人口・世帯構造

需要の強さと背景:湘南エリアの海が見える物件に対する需要は現在非常に強く、幅広い層から支持されています。その背景には働き方の変化ライフスタイル志向があります。コロナ禍を契機にテレワークが普及すると、「都心通勤に毎日縛られないならば、自然豊かな湘南で暮らしたい」という人々が増えました。

実際、弊社においても2020年以降に首都圏から湘南エリアへ移住する人が増加している傾向が見られますし、東京から電車で1時間前後という程よい距離感で海辺の暮らしを実現できる点が、リモートワーカーや週末二拠点生活志向の富裕層に刺さり、江ノ島周辺や鎌倉などは都内富裕層・リモートワーカーに特に人気が高まっていました。こうした二拠点居住やセカンドハウス需要は湘南の海近物件への継続的な追い風となり、テレワークの定着する限り需要は持続しやすいと見られます。

人口動態と世帯数:湘南エリア全体の人口は日本全体の少子高齢化の中で一部伸び悩む地域もありますが、都市ごとに事情が異なります。藤沢市・茅ヶ崎市は依然として人気が高く、近年も人口増加が続いています。例えば茅ヶ崎市は2010年から2020年までの10年間で約9千人増加(23.5万人→24.2万人)、藤沢市は同期間に約3万人増加(41.0万人→44.0万人)しており、30代の転入超過が人口増の要因となっています。これは「湘南」という地域ブランド力ゆえに全国的にも住みたい人が多いからだと分析されています。

一方で鎌倉市は人口横ばい、逗子市は緩やかに減少しています。ただし注目すべきは、鎌倉市では世帯数が着実に増加している点です。鎌倉市の人口は過去数年微増微減を繰り返す安定状態ですが、世帯数は直近5年で顕著に増えており(平成29年73,666世帯→令和5年77,172世帯)、これは家族規模の縮小や移住者流入により住宅需要が増えていることを示唆します。世帯増加に支えられて賃貸需要・住宅需要が底堅く、鎌倉市の賃貸マンション家賃は3年で約9.65%上昇し県平均を上回る伸びを示すなど、市内の住宅ニーズは強い状況です。

高齢化と供給動向:湘南エリア各市とも高齢化率は高く、今後団塊世代以降の高齢者が住み替えや相続で物件を手放すケースが増えると予想されます。高齢化に伴う相続売却の増加は一時的に売り物件の供給過多を招き、値動きに影響を及ぼす可能性があります。しかしその際も、資産価値の明暗を分けるのは「立地・眺望・管理状況」です。具体的には、海一望の眺望が確保された希少立地か、築年や管理状態は良好か、といった条件次第で「価値が落ちにくい物件」と「値下がりリスクが高い物件」に分かれるでしょう。実際これまでも、湘南にはバブル期に建てられた古いリゾートマンションが多く、管理不全や修繕積立不足に陥った物件は資産価値が大きく下落している例が散見されます。一方で希少な海沿い・海一望のブランド立地を備え、管理もしっかりした物件は需要が衰えず資産価値が落ちにくい傾向があります。したがって高齢化による供給増リスクはあるものの、質の高い海が見える物件には引き続き安定した買い手がつくと予想されます。

観光・リゾートニーズと地域ブランド力

湘南エリアは古くから海浜観光地・別荘地として知られ、地域ブランド力が資産価値を支える大きな要素です。鎌倉は国内有数の観光都市であり、その歴史的風致と海景色の組み合わせは唯一無二です。逗子・葉山も静穏な高級住宅地・保養地としてのブランドがあります。「湘南」の名前自体が全国的に知名度が高く、多くの人が憧れを抱く地であることは、住宅購入希望者の心理面でプラスに働きます。特に江の島・鎌倉・逗子・葉山などはブランド力が高く人気で、海沿いや海一望といった希少立地のマンションは供給が限られるため需要が安定しています。この「立地の希少性」と「観光リゾート需要」の組み合わせにより、湘南の海近物件は他地域に比べ資産価値が落ちにくい条件を備えています。

観光需要とセカンドハウス:東京から日帰り可能な湘南は観光地・レジャースポットとしての価値も高く、このことが不動産市場にも間接的な影響を与えています。観光客で賑わうエリアは商業地としての地価を下支えし、また民泊・別荘利用など投資用途で物件を取得する動きもあります。海や富士山の見える湘南の眺望は観光資源そのものであり、「将来その景観価値が増せば不動産の価値も上がる」という見方もあります。実際、「海が見える物件は単なる住居用途に留まらず投資の観点からも魅力的で、観光資源や環境価値の向上につれ価値が上昇しやすい」とする不動産コラムもあります。現状でも逗子や鎌倉には都心部の富裕層が週末用の別邸を構える例が見られ、またコロナ後は湘南にワーケーション用の家を確保する企業や個人も出ています。観光の国際化も将来的なプラス要因で、鎌倉などはインバウンド人気も高いため地域経済が潤い、不動産にも好循環をもたらす可能性があります。総じて、湘南エリアの観光地としての魅力と知名度が今後も維持・向上される限り、海が見える物件のブランド価値も高く保たれ、資産価値の下支え・上昇要因となるでしょう。

もっとも、観光人気の裏返しとして週末の交通渋滞や人出の多さは日常生活に影響し得るため、居住ニーズとしては静かな環境を好む層もいます。観光地真っ只中の立地より、一歩離れた高台や隠れ家的エリアが「真の湘南らしさを満喫できる隠れ家」として評価されるケースもある点には留意が必要です。このように観光・リゾート需要は総体として不動産価値を底上げしますが、自分用の居住物件を探す層には賑やかさを嫌う向きもあるため、静と動のバランスが取れた地域が安定した人気を得ると考えられます。

インフラ整備計画と都市開発の影響

交通インフラの充実:湘南エリアの利便性はここ数年でさらに向上しており、不動産価値の追い風となっています。鉄道ではJR東海道線・湘南新宿ライン、小田急線、江ノ電、京急線など複数路線が走り、東京・横浜方面へのアクセスは元々良好でしたが、2023年には相鉄・東急直通線が開通し、これにより藤沢市北部(湘南台駅経由)の都心アクセスが飛躍的に改善しました。新線開業の効果で湘南台エリアの人気は高まり、同駅周辺の地価上昇要因となっています。今後、リニア中央新幹線の開業(東京–神奈川間は未定)なども広域的な利便性を高め、湘南から各地への移動利便がさらに増す可能性があります。

道路網では、新湘南バイパスや圏央道など高速道路網の整備が進み、湘南エリアへの車アクセスも改善しました。特に圏央道の開通で内陸部から茅ヶ崎・寒川方面へのアクセス時間が短縮され、湘南エリアが「暮らしやすく通える郊外」として評価される一因となっています。もっとも海沿いの国道134号は観光シーズンの渋滞が多く、慢性的な交通混雑は課題です。自治体はBRT(連節バス)導入や道路拡幅など対策を模索していますが、抜本解決には時間を要するでしょう。ただ、大規模渋滞は主に繁忙期週末に限られ、日常的な通勤は電車利用者が多いため、資産価値への直接のマイナスは限定的と見られます。

駅周辺再開発と新規開発:湘南エリアでは近年いくつかの都市開発プロジェクトが進行・完了しています。その代表例が辻堂駅北口の「湘南C-X(シークロス)」再開発です。2000年代に大規模工場跡地(約20ha)を再開発して誕生した辻堂の新都市エリアには、駅直結の商業施設「テラスモール湘南」(281店舗)をはじめオフィス棟や医療センター、公園などが整備されました。この再開発により辻堂は「本当に住みやすい街大賞2022」で全国1位に選ばれるなど評価が急上昇し、生活利便性と将来性が大きく向上しました。再開発効果で辻堂エリアの地価は直近5年で約40%も上昇し(坪単価80.9万円→113.5万円)、湘南随一の成長エリアとなっています。とりわけ辻堂西海岸エリア(海に近く駅アクセスも良好な地域)は「海近×再開発×駅近」という三拍子が揃い、坪単価80〜120万円と湘南トップクラスの高値水準です。辻堂西海岸の成功例は、「利便性と環境の良さを兼ね備えた土地は資産価値が下がりにくい」というモデルケースといえます。

他にも藤沢駅周辺の再開発計画、茅ヶ崎駅北口の区画整理事業、平塚市の駅前再整備など各所で都市インフラの刷新が進んでいます。再開発により商業施設・公共施設が充実すれば居住満足度が上がり、「駅徒歩圏×海近」エリアの不動産価値を一段と底上げします。特に駅徒歩10分以内の利便性は資産価値維持の強力な要素であり、湘南の場合それに自然環境の良さ(海や緑)が加わった地域で顕著に地価が高騰しています。

鎌倉市内では大規模再開発こそ少ないものの、既存市街地の景観保全と利便性向上(駅周辺のバリアフリー化や観光客向け導線整備など)に注力しており、街全体の質の維持が図られています。総じて、インフラ整備と都市開発は湘南エリアの住環境を向上させ、不動産価値の押し上げ要因となっています。再開発済みのエリア(辻堂など)は将来性が評価されてすでに価格上昇していますが、今後計画中のプロジェクトが完了すれば、藤沢駅・茅ヶ崎駅周辺なども地価を底上げする可能性があります。

自然災害リスクの考慮

湘南の海沿い地域において自然災害リスクは不動産価値を検討する上で避けて通れない要素です。特に懸念されるのは津波、高潮、地震、土砂災害です。海が見える物件の多くは沿岸近くか高台に立地しますが、それぞれ異なるリスクプロファイルを持ちます。

  • 津波リスク:相模湾沿岸の湘南エリアは、東京湾内よりも津波リスクが高い地域とされています。想定される大規模地震には相模トラフ震源の関東地震や南海トラフ巨大地震などがあり、発生すれば湘南にも津波が押し寄せる可能性があります。実際、歴史上も1923年関東大震災(相模湾震源)では鎌倉や茅ヶ崎の海岸に約5mの津波が襲来し、2011年東日本大震災の際にも湘南沿岸で小規模ながら津波が観測されています。2011年の大震災以降、一時的に湘南海岸部の住宅は津波への不安から敬遠され、藤沢市の臨海部住宅地で地価下落・液状化懸念が出た例もあったと言われます。現代では各市町村がハザードマップを公開しており、海抜や浸水想定を確認した上で物件を選ぶ人が増えています。海抜の低いエリアでは津波避難ビルや高台への避難路整備が進んでいますが、巨大津波時の安全性は限定的です。このため「海が見える高台のエリア」は津波の不安が少ない分、資産価値が高い傾向があります。例えば湘南エリアでは海側の高台(海抜の高い丘陵地)は人気が高く、実際に「希少な海近高台で引き合いが強く地価は上昇傾向」との評価もあります。裏を返せば、低地の海沿い物件は将来的に津波リスクがより顕在化した際、相対的に需要が伸び悩む可能性があります。ただ、現時点では「海が近い魅力」が勝って人気は依然高いため、適切な防災対策を講じつつ資産価値を維持・向上させていくことが肝要でしょう。

  • 高潮・台風:近年の気候変動で大型台風の発生頻度や勢力が増すと予測され、高潮(ストームサージ)や高波もリスクとなります。湘南海岸ではこれまでも台風時に海岸道路が冠水したり堤防が損壊した事例があります。海抜の低い海辺の住宅は高潮による浸水リスクがありますが、マンション高層階や高台物件であれば物理的な浸水は免れることができます(ライフライン寸断など間接被害はあり得ます)。自治体も防潮堤のかさ上げや河川の逆流防止策を進めています。一方、土砂災害については湘南の丘陵地が該当します。海を望む高台は崖や急斜面を含む場合が多く、大雨や地震時のがけ崩れリスクがあります。鎌倉市などは土砂災害警戒区域が市内各所に指定されており、建築の際は擁壁補強や避難経路確保が重要です。高台物件でも地盤が固く安全と見なされる場所は人気が高いですが、脆弱な谷戸地形などは警戒されやすく、今後も「地盤や災害安全性の良い土地」が資産価値で優位に立つでしょう。

  • 塩害とメンテナンス:海に近い物件ならではの問題として塩害があります。潮風によって金属が錆び、自転車や車、家の金属部材、コンクリート鉄筋などが劣化しやすいのです。さらに湘南は湿度が高めなためカビが発生しやすい環境でもあります。このような自然条件は住環境の課題となり得ますが、資産価値に与える影響は管理次第です。塩害に強い建材や塗装を使い、定期的なメンテナンスを怠らない物件は高い価値を保てます。逆に「海辺特有の塩害で建物劣化が進んでも、管理組合が修繕積立不足だと価値下落リスクが大きい」ため、マンション購入時は管理状況のチェックが重要と指摘されています。個人住宅でも塩害対策や湿気対策に配慮することで、海近のデメリットを最小化できます。将来的には気候変動で塩害の範囲が内陸化する可能性もありますが、大きな差ではないでしょう。

総じて、湘南エリアの海が見える物件は魅力と引き換えに一定の自然災害リスクを抱えます。しかし多くの住民や購入希望者はリスクを理解しつつ湘南生活のメリットを享受しています。防災意識の高まりから、安全な高台への人気が一層高まる可能性はありますが、一方で「多少リスクがあっても海の近く・海が見える場所に住みたい」という根強いニーズも存在します。今後、大災害が実際に発生すれば一時的に市場に影響は避けられませんが、その場合でも湘南という土地の根本的な魅力が損なわれない限り、中長期的には需要は回復し価値は維持されると考えられます。

気候変動が及ぼす影響

地球規模の気候変動(温暖化)は、湘南エリアの沿岸環境にも徐々に影響を与え始めています。特に注目されるのが海面上昇と海岸侵食です。国の研究では、今世紀末までに日本の約9割の海岸で砂浜面積が半分以上減少し、6割の海岸では砂浜が完全に消失するおそれがあると報告されています。湘南の海岸も例外ではなく、近年深刻な海岸浸食が確認されています。鎌倉市稲村ヶ崎〜七里ガ浜の海岸はかつて広大な砂浜がありましたが、年々砂が失われ、今では満潮時に砂浜がほとんど残らない状態です。この砂浜消失は単に海水浴や観光の問題に留まらず、砂浜が天然の緩衝帯として果たしていた防波機能が失われることで、沿岸地域の高潮・波浪・津波リスクを高める深刻な課題となっています。現に、鎌倉の海岸では侵食対策として2023年に砂の養浜(人工的に砂を入れる)を行いましたが、2ヶ月後には大部分が流されてしまったと報じられています。国や県は消波ブロックや潜堤などの技術も投入し始めましたが、抜本的な解決には時間がかかりそうです。

気候変動によるリスクと価値への影響:海岸線後退と海面上昇が進行すれば、将来的に海沿いの低地は浸水常襲地帯となるリスクも指摘されています。例えば茅ヶ崎市では「温暖化が進むと市域の3分の2が海に沈む」という極端な試算もあります。現実的なタイムスケールではそこまで急激ではないにせよ、満潮時や暴風雨時に海水が敷地近くまで迫るようなケースが増えるかもしれません。そうなれば景観の魅力が損なわれるだけでなく、資産価値にもマイナスです。しかし一方で、高台の海見え物件にとっては相対的な価値向上につながる可能性もあります。低地のリスクが顕在化すれば、高所で海を眺められる安全な土地の希少性が一段と増すからです。したがって、気候変動による影響はエリア・立地によってプラスにもマイナスにも働き得ます。

また、湘南エリアの魅力である「四季を通じた穏やかな海辺の気候」も、将来は変化する可能性があります。真夏日・猛暑日の増加はヒートアイランド化を進め、避暑地としての心地よさを減じる懸念があります。ただし湘南はもともと温暖な地域であり、冬が暖かく過ごしやすいメリットもあるため、全体としての居住快適性が極端に悪化することはないでしょう。むしろテレワーク普及で夏場だけ涼しい高原へ移動、冬は湘南にいるといった季節移住も考えられる時代です。そうなれば湘南は冬のリゾート居住地としての需要も出てくるかもしれません。

結論として、気候変動は長期的にみて湘南の沿岸不動産に一定のリスクを与えるものの、適応策の進展や人々の意識変化次第で資産価値への影響はコントロール可能です。地域住民・行政・専門家が協力して海岸保全策を講じており、この取り組みが功を奏せば「美しい海岸と安全性」を両立でき、結果的に不動産価値を守ることになるでしょう。重要なのは、リスク情報を的確に把握して賢く場所を選ぶことです。災害リスクの低い立地条件(高台、強固な地盤など)を満たす海が見える物件こそ、将来的により一層希少価値が高まると考えられます。

将来価値の見通しと注目エリア・物件条件

以上の観点を踏まえ、湘南エリアの海が見える物件の将来的な資産価値は総じて明るい見通しと考えられます。ただし値上がりの度合いはエリア・物件特性によって差異が出るでしょう。最後に、今後値上がりが期待される具体的なエリアや条件を整理します。

  • 希少な眺望×ブランドエリア:まず最有望なのは、湘南の中でも圧倒的な海景色とブランド力を兼ね備えた場所です。例えば鎌倉市稲村ガ崎~七里ガ浜エリアの高台は、眼下に湘南の海と江の島、遠くに富士山までも望める絶景ポイントで、もともと富裕層に人気の住宅地です。加えて前述の通りこの海岸は侵食が進み砂浜が消えつつあるため、逆に言えば「この景観を自宅から楽しめる希少性」が一層高まっています。実際この界隈には億ション・高級邸宅が多く、今後も資産価値が維持されるでしょう。鎌倉市全体としても歴史遺産と自然環境の価値が色褪せることはなく、不動産市場の需要は今後も安定しており住宅地価格は引き続き上昇傾向と予想されています。

  • 海近・利便性良好な再開発エリア:藤沢市辻堂西海岸や茅ヶ崎市東海岸北など、海にも近く生活利便性も高い新興エリアは引き続き注目です。辻堂西海岸は既に高騰エリアですが、「再開発完了→街力向上→人口流入増」という好循環が続いており、長期投資価値が高いエリアと評価されています。茅ヶ崎市でも東海道線南側の海岸エリア(東海岸北・南など)はサザンビーチの開放感を日常享受できるとあって人気が高く、2023年公示地価上昇率トップ10に茅ヶ崎東海岸北2丁目がランクイン(+9.8%)するなど上昇傾向が鮮明です。これらのエリアは駅からも徒歩圏で生活インフラが整い、かつ湘南らしい雰囲気が味わえるため、今後も値崩れしにくく堅調な値上がりが期待されます。

  • 海見え×高台(津波リスク低減)エリア:既に述べたように、海抜が高く津波リスクの小さい高台から海を見渡せる地域は、今後さらに相対的評価が高まるでしょう。具体例として逗子市の披露山(ヒロヤマ)地区が挙げられます。披露山は高台高級住宅街で相模湾と江の島を望む眺望が魅力、加えて閑静で安全な環境から不動産評価が高いです。逗子市内では他にも小坪や桜山といった自然豊かで海を望めるエリアがあり、リゾート的価値が地価に反映されています。実際逗子市の海岸近隣エリアはリモートワーク普及以降に移住者が増え、地価を支える要因となっていると分析されています。同様に葉山町でも一色海岸や長者ヶ崎を見下ろす高台に別荘地が点在し、皇室ゆかりの地としても知られる葉山は近年基準地価が前年比+5.83%(住宅地、2024年)と大きく伸びています。これら「眺望+安全性」の両立するエリアは希少ですから、将来的にも安定した資産価値が期待できます。

  • 人口流入が続く利便都市:湘南の中でも藤沢市・茅ヶ崎市のように人口増加が続き若年ファミリーにも人気の都市では、不動産全般の需要が堅調です。こうした都市の中で海が見える物件(例えば藤沢市片瀬海岸や鵠沼海岸エリアのマンション、茅ヶ崎南湖エリアの海近戸建など)は、将来にわたって安定成長が見込める資産といえます。特に藤沢市は2023年時点で人口約45万人と湘南最大の都市であり、交通の便・生活利便性・雇用環境が整っています。その結果、藤沢市の地価上昇率は県内上位となり(住宅地+4.2%、商業地+4.7%/2024年)、今後もこの傾向が続くと予想されています。海辺のリゾート感と都市機能のバランスが良い藤沢・茅ヶ崎は、地価の下支え要因が多く、中長期でも有望エリアといえるでしょう。

  • 資産価値維持に向く物件条件:エリア横断的に見れば、資産価値が上がりやすい物件の条件がいくつか浮かび上がります。それは「駅に近い」「生活利便施設が近い」「良好な住環境(景観や教育環境)」「高台や強固な地盤等で自然災害に強い」そして「湘南らしい海の近さ・眺望」です。これら条件を複数満たす物件は湘南エリアでも人気が集中し、実際に高騰エリアの多くで当てはまっています。例えば「藤沢市辻堂駅徒歩10分×海徒歩15分」のような立地は最高クラスですし、鎌倉市でも「由比ガ浜徒歩圏×駅徒歩圏×高台」という物件であればまず値崩れしないでしょう。逆に、眺望が遮られていたり駅から極端に遠かったりする物件は、例え海近でも将来価値が伸びにくい傾向があります。またマンションであれば管理状態や修繕計画の良し悪しが長期価値に直結します。海辺特有の高コストなメンテナンスに対応できず荒廃した建物は、資産価値が下がっていく可能性が高いです。一戸建てにおいても、きちんとリフォーム・リノベーションされているか、建物性能(耐震・耐塩害など)がしっかりしているかが重要です。

最後に、湘南エリア全体の展望を述べれば、たとえ日本全体で人口減少が進もうとも「湘南に住みたい」「湘南でセカンドライフを送りたい」という人々がゼロになることは考えにくく、一定の需要層が今後も存在し続けるであろう土地です。その需要に対して海沿い土地の供給は物理的に限られているため、基本的な資産価値の下支え構造は盤石です。実際、湘南地域の不動産マーケットは直近の「40年ぶり不動産バブル」とも言われる局面においても顕著な盛り上がりを見せています。ダイヤモンド不動産研究所の予測モデルでは、今後10年間で鎌倉市の土地価格は+18.5%上昇が見込まれると試算されています(※あくまで試算)。不確実性はありますが、この数字は湘南エリアの将来性に対する一つの期待値と言えるでしょう。

おわりに

湘南エリアの「海が見える物件」は、過去の推移と現在の状況を総合すれば将来的にも値上がり・高値維持が期待できる資産と判断できます。歴史的なブランド力と希少なロケーション、テレワーク時代の住まい方の変化、観光・リゾート需要の底堅さ、そして進行中の都市開発など、ポジティブな要因が数多く揃っています。不安材料としては、自然災害リスクや高齢化による供給増、大幅な気候変動などがありますが、これらはエリアや物件の選別によって対処可能であり、むしろ安全性の高い物件が選好される傾向を強めるでしょう。

結局、不動産の価値は「需給バランス」と「将来の見通し」で決まります。湘南の海を望む物件は需要面で根強い人気があり、供給面では土地が限られ滅多に出ない希少物件も多いです。そして将来のまちづくり計画やライフスタイル潮流も、この地域に追い風です。したがって適切な場所・物件を選べば、湘南の海見え不動産は今後も資産価値が落ちにくく、むしろ上昇するケースが多いと展望されます。実際、湘南エリアの不動産プロも「住宅地の価格は引き続き上昇傾向」「投資先として有望」と評価しており、賃貸需要も堅調であることから長期的な安定資産としての魅力は大きいようです。

ただし、全ての物件が安泰というわけではありません。真に価値を保つのは「希少性×ブランド力×管理状況」が揃った物件であり、立地条件の悪い物件や老朽化した管理不全物件は値上がりどころか下落リスクもあります。購入・投資にあたっては、その物件の将来的な眺望確保(周囲に建物が建たないか)、ハザードマップ上の安全性、管理組合の財政健全性などをしっかり確認することが肝要です。これらを見極めつつ選んだ湘南の海見え物件は、きっとあなたに豊かな暮らしと資産価値の両面で大きな満足をもたらしてくれるでしょう。